TAVARUAストーリーVOL.2
ボートから飛び込む至福。

フィージー タバルア島

朝一と夕方のサーフィンが好きだ。明け方と夕暮れは風の影響が少なくなることが多いからだ。オフショアウィンドでも、強いより弱い方がいい。波面が綺麗になるからね。もちろん、サンライズとサンセットを海に浮きながら体感したいからでもある。
フィジー本島からボートで30分の沖合にあるタバルア島も、朝夕に風が弱まることが多い。だから、僕がタバルアに滞在した時も毎朝、まだ薄暗い日の出前に起きて、ウッドタワーに登ってクラウドブレイクの波をチェックし、ボードをチョイスしてからスピードボートに乗り込むために砂浜に集まった。朝一好きの連中は毎朝同じ顔ぶれだたような気がする。朝一番のボートは、日が昇る前にタバルアを出て、クラウドブレイクに向かう。
ボートの上は、雑誌やビデオで観たシーンが現実になる瞬間だ。タバルア島を少し離れると、ボートの上からでも沖合遠くに白いスープ(波が砕けた白い泡の部分)が見える。海の上に浮かぶ雲のようだ。
これを見て「クラウドブレイク」と名付けたことがうなずける。10分ほどで波の全容が見えてくる。「Good wave out there〜 Go boys !」フィジアンのボートマンがご機嫌なスマイルで声をあげる。
4〜5フィートのマシンブレイクが目の前にある。世界中のサーファーの憧れの的、誰もいないクラウドブレイクに向かって飛び込めるなんて、ほんと夢のようだ。
一生のうちのほんの1週間だけだとしても、タバルア島に滞在し、クラウドブレイクの波に乗れたことは、僕のサーフィン観を果てしなく広げてくれた。

story by Tokushi Akai


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